こんにちは。聖一朗(@sei01row)です。
毎年10月に最低賃金が引き上げられてますね~。
働く側にとっては賃金が上がるワケですから(上がらないところもありますが)嬉しい事なんですが、
雇用する側、特に日本を支えている中小零細企業にとっては年々人件費が増えて行ってます。大変ですよね。
今回はその最低賃金の基礎知識について書いていきたいと思います。
最低賃金について知識があいまいな方や、賃金改定を検討中の方などのお役に立てれば幸いです。
目次
最低賃金って何?
最低賃金というのは、労働者に対して支払う賃金(給料)の最低限度を定めたものです。
労働者を雇用する側(使用者)は、この最低賃金以上の賃金を支払わなければいけない(強制)という法律になります。
最低賃金には①地域別最低賃金と②特定(産業別)最低賃金の2種類定められているんですが、両方を比較して金額が高いほうを適用しなくてはいけないんですね。
①地域別最低賃金
都道府県ごとに定められていて、その都道府県で働くすべての労働者に適用されます。
全ての労働者なので、正社員もパートもアルバイトも、という事になります。
ちなみに令和元年度の地域別最低賃金はコチラ
単位は“時給”です。地域によってかなりバラつきがあることが分かりますよね?
②特定(産業別)最低賃金
都道府県ごとに一定の業種について設定している場合があります。(ない業種もあります)
その業種の『基幹的労働者』に適用されます。
『基幹的労働者』とは、以下を除いた労働者のことになります。
- 一定の年齢である方(18歳未満または65歳以上など)
- 技能習得中である方(雇い入れ後3ヶ月や6ヶ月など一定期間未満である など)
- 軽易な業務に従事する方(掃除や片付け など)
※特定(産業別)最低賃金の適用には一定の条件があります。判断に迷った場合には労働局や労働基準監督署へ確認することをオススメします。
最低賃金より低い金額で働いてもらうことはムリ?
先に記載した通り、最低賃金は労働者に支払うべき賃金の最低金額を定めたものです。
本来は最低賃金を下回る金額で雇用することは出来ないんですが、特例として可能な場合があります。
その特例とは「精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方」や「試みの使用期間中の方」など、一定の方の場合には、都道府県労働局長の許可を受けることで、個別に最低賃金を減額することが出来ます。
逆に言えば、仮に労働者と使用者の両者が合意していても、労働局長の許可がない場合には、最低賃金より低い金額で契約することは出来ません。(許可がない場合は最低賃金での契約をしたこととみなされます。)
最低賃金をチェックする方法
最低賃金は時給で定められている為、支払っている賃金が最低賃金を下回っていないかを確認するためには、時給換算にして確認をします。
その際、書きに挙げる賃金(手当)は除いて計算してください。
- 臨時に支払われる賃金・・・結婚手当など
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金・・・賞与など
- 時間外、休日、深夜労働に対する割増賃金
- 精勤・皆勤手当、通勤手当及び家族手当
換算方法
時給の場合
時間額≧最低賃金額(時間額)
日給の場合
日給額÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
月給の場合
月給額÷1ヶ月の平均所定労働時間(※)≧最低賃金額(時間額)
※1ヶ月の平均所定労働時間=年間所定労働日数×1日の所定労働時間÷12ヶ月
尚、所定労働時間とは労働協約や就業規則に定められた、始業時刻から終業時刻までの労働時間で休憩時間は除く。
こんな時は要注意です!
所属事業所のある都道府県とは違う都道府県で勤務する場合は、一体どっちの最低賃金が適用されるのでしょうか?
この所属事業所とは、本社・支社・支店・営業所などに関わらず、該当するその労働者を管理している拠点を指します。
つまり、ボクが千葉県の会社で雇われて、勤務先が茨城県だった場合はどっちの最低賃金が適用されるか?という事。
これは直接雇用されているか?派遣社員か?によって違ってきます。
直接雇用の場合(正社員・パート・アルバイト・契約社員など)
この場合は所属事業所の最低賃金(地域別最低賃金または、特定最低賃金)を適用します。
どういうことか?というと、ボクが千葉県の会社にパートとして雇い入れられたとします。
そうするとボクは千葉の会社で労働契約を結び、指揮命令・労務管理はこの千葉県になります。
でも勤務する先は茨城県。
但し、この茨城の勤務先に労務管理等をする機能が無い場合という事になりますが、千葉県の最低賃金(またはそれ以上)で働く事になります。
派遣社員の場合
この場合では千葉県の会社はあくまでも、派遣元の企業として派遣労働契約を結びます。
そして勤務する先は、派遣先の企業である茨城県の会社である場合、指揮命令はこの茨城の会社にあり、さらに労務の一部も担う事になるワケなので、最低賃金は茨城県のものが適用になるという事なんですね。
ちなみにパートと派遣の違いはコチラの記事で書いてます。
つまりボクに対してどこから命令が出てるか?によって、どこの最低賃金になるかが変わるという事ですね。
まとめ~なぜ最低賃金は上がるのか~
政府は最低賃金の水準について「より早期に全国平均で1000円に引き上げる」という目標を掲げています。
過去3年間の最低賃金の引き上げ幅は年3%としてきましたが、今後はその引き上げ幅の拡大を促していくことが予想されます。
最低賃金の引き上げ幅を拡大すれば、日本で大多数を占める中小零細企業は生き残るために生産性を高める必要性に迫られるからです。
これから人口減少が加速していく日本では、生産性の向上が不可欠です。
先進国のほとんどは大企業の方が中小企業よりも生産性が高い傾向にあるのに対して、日本は中小零細企業によって支えられています。
このことが先進7か国の中で最も生産性が低い理由になっている為、その現状を変えていきたいという意図があるんですね。
なかなか厳しい世の中です。
中小零細企業が頑張ってる姿こそが、日本の元気の源だと思っているのはボクだけでしょうか?
最低賃金の値上げについては今後も議論が続くと思いますが、日本の労働環境が、そして景気状況が良くなることを強く望みます。