書評

『たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に』という小説を読んだ感想文です。

たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君にのアイキャッチ

こんにちは。聖一朗(@sei01row)です。

ボクはもともとミステリー小説が好きなんですが、今回『たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に』という小説がとても面白かったので、感想文を書いてみようと思いました。

たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に
この本を勧めたい人

○普段小説をあまり読まない小説ビギナー
○あまり読まないジャンルの本に出合いたい方
○1日時間が空いて、一気読み出来る本を探している方

タイトルも、表紙絵をとってもボクのようなオッサンが手に取るような本ではなかったんですが、本を読むスピードが遅いボクが一気に読んでしまった作品です。

ここでは実際にこの作品を楽しんで頂きたいと思い、なるべくネタバレしないように書いて行きたいと思ってます。

目次

著者の紹介

この本の著者は『佐藤青南』という作家さんです。

熊本大学法学部に入学するが、途中で除籍。その後、上京してミュージシャン活動をする。2009年、第4回ポプラ社が主催する長編小説を対象とした公募の新人文学賞『ポプラ社小説大賞』で最終選考に残るも落選。2010年、『ある少女にまつわる殺人の告白』で 第9回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞を受賞し、同コンテスト5度目の応募で念願の作家デビューを果たす。

引用先;Wikipediaより

正直、この本に出合うまでは全く知らない作家さんでした。

ボクの読むミステリーは(最近はあんまり読まなくなりましたが)、東野圭吾がほとんどでしたので・・・。

何度か知らない作家さんを本のタイトルだけで読んでみたこともありましたが、あまり良作に当たったことが無かったので、いつもハズレの少ないメジャーどころを選んでいたわけです。

でもこの本を読んでみて、『このミステリーがすごい!』大賞で優秀賞を受賞した『ある少女にまつわる殺人の告白』という作品は読んでみたくなりませんか?

はい!実際に読んだ感想文はコチラです↓

ある少女にまつわるアイキャッチ
『ある少女にまつわる殺人の告白』佐藤青南著の感想文を書きました。この作品は、これまでボクが読んできたミステリー小説の中でも、ちょっと違った一面があり、“読み物”として考えさせられる内容でした。...

主な登場人物

伊東公洋(コーヨー)

司法書士資格試験を目指し、スマイル法務事務所で働きながら勉強に励む28歳、彼女いない歴2年。

峰岸祐子

スマイル法務事務所で働き始めて半年、伊東公洋のサポートをしている29歳のパート社員 。

ナナちゃん(田代奈々)

居酒屋で偶然コーヨーと出会う女子大生。

物語はこの3人の三角関係で進んでいきます。

森尾真人

伊東(コーヨー)の親友。高校からの同級生だが、仲良くなったのは大学から。

大学は中退し、劇団で役者を目指している見かけチャラ男。

中本さん

スマイル法務事務所で働く伊東公洋の先輩社員。伊東にとっては社内の良き相談相手。

寺島瑞穂

伊東公洋の元カノ。6年付き合っていたが2年前に別れる。

※あくまでもメインキャストを紹介してます。この他にも登場人物はいますが、物語が想像出来てしまうので控えます。

ザックリあらすじ

伊東公洋(コーヨー)は2年前に6年付き合った瑞穂と別れてから彼女はいないが、今は司法書士になるべく、スマイル法務事務所で働きながら勉強の毎日。

ある日役者を志す親友の森尾と居酒屋で飲んでいる時、彼女がいないことが話題にのぼる。
森尾が店のマスターにそのことを話すと、同じカウンターで飲んでいたナナを紹介され、乗り気じゃないまでも連絡先を交換する。

後日、コーヨーの事務所に森尾とナナが押しかけ、会社の先輩中本とパート勤務の峰岸を合わせ5人で食事をすることに。

その後、コーヨーとナナは徐々に距離を縮めていくが、それと同時に峰岸もコーヨーに思いを寄せていることが分かる。

この三角関係がやがて思わぬ展開に発展していく。

これは恋なのか?それとも罠?ときめきと恐怖が交錯する純愛ミステリー!!

・・・と、最後はミステリー小説の紹介文から引用してます笑

そして感想(伏線の展開と回収が素晴らしい作品)

まずボクが思うミステリー小説での醍醐味は、伏線の張り巡らせ方と、それをどこでどのように回収していくのか?という事にあります。

今まで読んだ小説の中では、伏線を広げるだけ広げておいて、最後の章で全部回収するようなものがあったり、ひどいものだと全部回収しきれなくて『あとは想像してください』みたいな終わり方をする作品もありました。

でもこの作品は、大きなものから小さなものまでバランスよく伏線を配置していました。

そして回収のタイミングも、読み進めていく途中で「あぁ、さっきのアレはこういう事だったのか~」「あれ?でもアレがまだ解決してないぞ?」という具合に思考が連続していくようにプロット立てがなされています。

その為散りばめられた伏線を、読んでいくうちに忘れてしまったなんていう事もなく、最後は納得した形でエピローグを迎えることが出来ました。

そして物語の中盤を支配している、背中がゾゾっとするような恐怖も、もしかしたらこんな事ってホントに身近で起こっている事なのかも?と思わせられる内容です。

本編は275ページありますが、あっという間に読み切ってしまいます。

それは物語にスピードがあるからではなくて、とにかく次の展開が気になってしまい、途中でやめられないから。

だからといって、次々に予想外の展開が押し寄せてくるのかというと、「えぇぇぇぇ~~!?」という部分はあれど、それほど予想出来ない内容でもなかったです。

あまり普段ミステリー小説を読んだことが無いような方は、この作品がミステリーにハマるきっかけになるかもしれません。

本来はじっくりと読み進めるタイプのボクですが、あっという間の読了だったにも関わらず、満足出来るとても良い作品でした。

恋愛というのは時に狂おしいものなのかも・・・

男女の恋愛というのは、時によって様々な感情が湧き出してくるものなんだと思います。

お互いが愛し合って楽しいひと時を過ごしていたり、相手が考えていることを想像してウキウキしたりなんていうのは、もしかしたらごく稀な事で、本当は圧倒的に一方通行で狂おしいほどに相手を思ってしまうという感情の方が多いのかもしれません。

例えば学生時代に好きな子が出来て、下校時間に「偶然会わないかな?」なんて思って、無意味に校内をウロウロしてしまったりしたことはないですか?

それだけならまだ良くて、好きな子の住んでる最寄りの駅まで用もないのに行ってみたり・・・。

今となっては笑い話かもしれませんが、その当時の相手の子からすれば、それはあなたの「狂気」だったのかもしれません。

たとえ「狂気」だったとしても、抑えられないほどの感情。

多かれ少なかれ、人間誰しもが持っている当たり前の感情なのかもしれませんよね。

なぜこんな事を書いているのか?

それはこの本を読んでみると分かって頂ける事だと思います。

今あなたの隣に最愛のパートナーがいる事は、あなたにとって運が良かった出来事だったんですよ。きっと・・・。

ある少女にまつわるアイキャッチ
『ある少女にまつわる殺人の告白』佐藤青南著の感想文を書きました。この作品は、これまでボクが読んできたミステリー小説の中でも、ちょっと違った一面があり、“読み物”として考えさせられる内容でした。...

きっかけはブログでした。

表紙もタイトルもボクのようなオッサン向けではないですし、よく知らないアイドルが帯で推薦しているような本を、なぜ読んでみようと思ったのか?

アイドルの帯評

そのきっかけはブログでした。

確かにブログだったんですが、どなたのブログだったか忘れてしまったんですね・・・。

でも『オススメ小説5選』みたいな記事の中で、この1冊が気になったんです。

そこには『泣ける』といったような内容が書いてあったので、「たまにはそんなのも読んでみたい」と思いました。

でも実際に泣けたか?というと、残念ながら泣けませんでした。

いやもしかしたら、泣ける人もいるかもしれないという内容ではあったんですが、ボクは泣けなかったというだけです。

物語に登場する、ある人物がボクには強烈すぎたのかもしれません。

きっかけがブログでしたので、この記事を書くことでまた誰かのきっかけになればいいなと思っています。

これを読んで、さらにこの本を読んで「良い出合いだった」と思って頂けたら幸いです。