皆さんこんにちは。聖一朗(@sei01row)です。
実は今日はバイクでツーリングに行こうと思ってました。思ってましたが、残念ながらの雨・・・。雨男なんです。
仕方なくツーリングを断念し、この持て余した時間をどうしようかと考えて、普段は行かない美術館に行ってみる事にしました。
美術館ってどんな印象がありますか?やっぱり彫刻とか絵画の展示ですよね?
今回ボクが行って来た千葉県立美術館では、いくつかある展示室の中の2つでアマチュアの写真展、別の展示室では『中山忠彦』という画家の絵画展をやっていました。
アマチュアの写真展は入場無料、『中山忠彦』の絵画展は500円。もちろん全部見てきました。
最初にアマチュアの方を見て回ったんですが、観覧者が恒例の女性が多くて、本当は静かに写真を楽しみたかったんですけどオシャベリの声が気になって集中出来ませんでした。
飾ってある写真は素人のボクでも「すごいな!」と思う作品も多かったんですが、オバサン(オバアサン?)の声のせいで興ざめしてしまいました。
その後『中山忠彦』の方に行こうとしてちょっと躊躇。この調子でオバサン連中がいるようならやめようと思ったんです。
だって500円払うのに絵画をじっくり見れなければムダになってしまいますからね。
入り口で覗いてみた所、幸い皆さん静かに見ているようだったので中に入ってみる事にしました。
目次
本当の油絵を見た!
ボクは絵画についてはほとんど何も知らない素人です。特に美術が好きというわけではなく、美術館や博物館の雰囲気や展示物の説明を読んで歩くのが好きという程度なので、油絵の知識としても全く素人レベルです。
油絵ってよく聞きますけど、ボクの印象ではザックリというか・・・ぼやっとというか・・・あまり精密に書かれないイメージだったんですよね。正しい表現かは分かりませんが“抽象画”というんでしょうか?
『中山忠彦』という画家の絵はほとんどが油絵でしたが、絵を見る限り油絵だとは思わなくて、絵の横にある小さな表示を読んで初めて油絵だと知ったんです。
「え?油絵ってこんな感じなの?」という事をこの歳になって初めて知りました。
絵に目を近づけると、ボクがイメージしている通りボヤっとした感じなんですが、少し(1メートル程度)離れてみるとその絵に描かれている女性はまるで息をしてるんじゃないかと思うほどリアルなんです!
もしかしたら風景ではなく人物が描かれているからそのように見えるのかもしれませんが、本当に前に女性がいるように感じてしまうほどでした。
「これが本当の油絵なんだ・・・」これが序盤でのボクの感想です。
中山忠彦の絵画について
今日の今日までボクは『中山忠彦』なんていう画家を聞いたこともありませんでした。だから今日この展示も全く知らないで行ったんです。
1つひとつの作品には横に題名や描かれた年の記載がありました。最初の数枚はきっと画家になりたてで作風が決まってなかったのかもしれないというもので、その絵からは何も伝わって来ませんでした。
ただ1965年以降に描かれた作品は、ほとんど(多分90%以上)が一人の女性を描いた絵だったんです。
その女性は良江さんという『中山忠彦』の奥様でした。
彼は奥様との結婚を機にそれから50年もの間、毎年1~2枚というペースで奥様を描き続けていたんです!
すごいですよね!ホントにずっと奥様の絵でした。ボクは忠彦さんにも、もちろん良江さんにも会った事はありません。でも良江さんが描かれている絵を1枚1枚と見ていくうちに、まるで良江さんに会った事があるような錯覚を覚えたんです。
50年です。当然だんだんと老けていくはずなんですが、絵の中の良江さんはずっと『変わらない』ように見えました。
いや、でも確かに年齢は重ねているのが絵から伝わってきます。伝わってくるのに『変わらない』ように見えるんです。
不思議な感覚です。描かれているのに息をしているように見えて、60枚近くの良江さんは確かに歳をとっているように見えるんですが『変わらない』・・・。
きっとこれがプロの描く絵画の見えない力なのかもしれないと思いました。
忠彦さんと良江さんは、“愛”というチープな言葉では表せない信頼で結ばれていたんではないでしょうか。
だから忠彦さんは自分の画家としての画力で本当の良江さんの姿と、忠彦さんの目に映ってる良江さんとが表現出来たのではないかと思いました。
そして良江さんはきっと忠彦さんが自分をそのように描いてくれる(ただ老いていく自分を描くだけじゃない)という信頼があったに違いありません。
少なくともボクにはそう感じました。
とても感銘を受けてしまい・・・実は・・・3周もしてしまいました・・・。
中山忠彦という画家
知ってる人は少ないかもしれないし、その業界では有名なのかもしれません。
Wikipediaで調べてみましたが、ほとんど情報が出てこないんです。
千葉県立美術館のHPにはこのように載っています。
千葉県市川市在住の洋画家・中山忠彦(昭和10年~)は、現在の日本洋画壇を代表する画家の一人です。日展、白日会を中心に活躍し、日本芸術院会員、日展理事、白日会会長等も務めています。
中山は福岡県小倉市(現・北九州市)に生まれ、大分県中津市で育ちました。高校卒業後、上京して伊藤清永(きよなが)絵画研究所に入門し、内弟子として約4年間の指導を受けて独立します。画業初期にあたるこの頃、中山は師に倣って裸婦像に取り組み、単身像や二人像、群像などを通して光の描写や構図の研究に励みます。そして、のちに妻となる良江との出会いをきっかけに、主に良江夫人をモデルとする着衣の女性像を描くようになりました。モデルが着用するのは、作家本人が収集したアンティーク・ドレスの数々です。その優美で質感豊かな表現がモデルの内面を浮かび上がらせます。引用;千葉県立美術館HPより
ここに書かれている通り、油絵がザックリやボヤっとに見えなかったのはそのドレスの精密さにあったのかもしれません。
細かい装飾や繊維の感じも細かく描かれていました。
絵に魅了されたボクは帰りがけにパンフレットを持って帰って来たんですが、パンフレットの絵では全然あの感覚が伝わって来ません。
それがプロの描く絵画なんですね。
絵の素人では名前すら知らない『中山忠彦』さんでも、これほど何かを感じるものが描けるんだから、素人でも名前を知っているような画家はどんな絵を描くんでしょうか。
それを知りたくなりましたね。
まとめ
今回たまたま千葉県立美術館へ行き、たまたまやっていた『中山忠彦』展を見る事が出来たのは本当にラッキーでした。
残念なのは、この企画展が1月20日までだという事。あと1週間しかありません。
この記事を読んで頂いた方々には是非一度見てほしいと思うんですが、見るなら良江さんの絵をすべて見てほしいです。
その機会があと1週間だと思うと残念です。
もしその期間に足を運ぶ事が出来る方は、行ってみて下さい。きっと感じるものがあるはずです。
鈍感なボクでさえ感じたんですから・・・。