U-23 アジア選手権2020

サッカー日本代表 U-23アジア選手権 サウジアラビア戦マッチレビュー【2020年1月9日】

サウジアラビア戦アイキャッチ

こんにちは。聖一朗(@sei01row)です。

今回のU-23アジア選手権は東京オリンピックのアジア最終予選を兼ねた大会です。

結果は1-2と惜敗・・・。

もちろん日本は開催国ですので出場は決まっていますが、その分余裕をもった対外試合が出来ます。

今回のサウジアラビア戦は、そういった意味では相手国のサウジアラビアよりも挑み方が違ったのではないでしょうか?

試合運びとしては決して悪くなかったです。

ではなぜ負けてしまったのか?

今回はその辺を踏まえてのマッチレビューをしていきたいと思います。

今回の選出メンバー&スタメン

国内組中心の選出メンバー

この大会は国際Aマッチデーではないため、招集の強制力が弱くクラブチームの理解がない場合は呼ぶことが出来ません。

選出メンバーは以下の通りです。

GK
小島 亨介(アルビレックス新潟)
大迫 敬介(サンフレッチェ広島)
谷 晃生(ガンバ大阪)

DF
渡辺 剛(FC東京)
町田 浩樹(鹿島アントラーズ)
立田 悠悟(清水エスパルス)
岡崎 慎(FC東京)
古賀 太陽(柏レイソル)
橋岡 大樹(浦和レッズ)

MF
相馬 勇紀(鹿島アントラーズ)
森島 司(サンフレッチェ広島)
田中 駿汰(大阪体育大)
遠藤 渓太(横浜F・マリノス)
旗手 怜央(順天堂大)
食野 亮太郎(ハーツ)
松本 泰志(サンフレッチェ広島)
杉岡 大暉(湘南ベルマーレ)
田中 碧(川崎フロンターレ)
菅 大輝(北海道コンサドーレ札幌)
齊藤 未月(湘南ベルマーレ)
田川 亨介(FC東京)

FW
小川 航基(水戸ホーリーホック)
上田 綺世(鹿島アントラーズ)

今回選出されたメンバー23人のうち、17人がA代表経験者なんですが海外組はMFの食野1人。

森保監督はこの最終予選でも選手を固定せず、試しているような選出となっています。

と言ってもこの森保ジャパンは今まで何人もの選手を招集し、テストしてきましたからA代表に選ばれたからと言って、正直何の箔にもなりません。

まぁ出場は決まっているわけですから、調子が上がっている選手だったり連携や相性を確認しながら、勝てるメンバーを選んでくれればいいんですけどね。

それにしても前回のジャマイカ戦からすると、少々頼りない気がしてしまいます…。

今回のスターティングメンバー

GK 大迫敬介
DF 渡辺剛 岡崎慎 古賀太陽(3バック)
MF 田中駿汰 田中碧(Wボランチ)
橋岡大樹 杉岡大暉(ウイングバック)
旗手怜央 食野亮太郎(2シャドウ)
FW 小川航基(ワントップ)

どうやら森保監督は本選までに3バックを仕上げるつもりのようです。

確かに試合や練習を重ねるごとに3バックのキモとなるセンターバックやウイングバックに対応できる選手が増えてきています。

でも世界の強豪を相手にと考えると、まだまだ不安が残ります。

そしてなんと今回の相手であるサウジアラビアは、本来の4バックを日本に合わせて3バックの布陣で挑んできました。

残念ながらナメられてましたね。それでも日本には勝てるって思われてたんです。

前半レビュー

アジアのチームとの試合の時は(特に公式戦では)、序盤相手チームが引いて守りながら様子を見てくることが多いのです。

しかし今回のサウジアラビアは、開始早々から前に出てくるサッカーをしてきます。

このパターンの場合は、逆に日本が引き気味になることが多いですが、今回は一進一退といった勝負をしてきます。

両ウイングバックもサウジアラビアの攻撃に対応し、良く戻って来ていましたので最初から相手が前がかりになっていても、それほど危ないシーンは無かったように感じます。

その分サウジアラビアは、バックの押し上げが遅くて中盤がぽっかりと空く事があったので、ボランチを中心にボール支配をすることが出来ていました。

ただ気になったのは、サウジアラビアの2シャドウのスピードが異様に速い所。

特にドリブルで縦に仕掛けてくるときは、ディフェンスの足も目もついていけてませんでした。

この世代の日本代表の課題としては、サイドチェンジとウラを取る動きがおろそかになる事。

それは東アジアE-1選手権の時に指摘したとおりですが、今回はしっかり修正されたようで、サイドチェンジは2人のボランチが中心になって、そして前線の3枚は常にウラを取ろうとディフェンスラインと駆け引きをしています。

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前半はどちらかというと日本のペースで試合が行われていますが、どう贔屓目に見ても得点の匂いがしてきません。

攻めているように見えて、サウジアラビアのディフェンスまで食い込めていないような、そんな違和感があります。

特に1トップの小川は、マークを外す動きをオフ・ザ・ボールでも繰り返し行っていました。

日本が優勢ではあるものの、決定機を作れないまま前半が終了します。

忘れてはいけないのが、サウジアラビアは3バックで来ているという事。

普段のフォーメーションは4バックなので、これだけ日本に攻め込まれていれば、綻びが出てもおかしくないはずなんですよね。

後半レビュー

後半開始早々、先制したのはサウジアラビアでした。

前半の3分、日本のミスにより中盤でボールを奪われ、自陣にドリブルで持ち込まれます。

するすると中央に切り込んできますが、下がりながらのディフェンスの為、誰も飛び込むことが出来ません。

そのままセンターバックとマッチアップしたタイミングで右から走りこんできた選手にパス。

フリーで撃たれたシュートがゴールネットを揺らしました。

先制を許し0-1・・・。

前半感じていた2シャドウのスピードに、なすすべなくやられたといった得点でした。

E-1の韓国戦でも同じように、またもやスピードに追い付けなかった結果です。

これでもう点を取らなくてはいけなくなった日本…のはずですが、どうもペースが上がったようには感じません。

でもその後の11分でした。

ボランチから左サイドに展開されたボールを、ウイングの杉岡と食野がパス交換をしながらチャンスを伺います。

そしてボールを受けた食野が、自身の強みであるターンからシュート!

それがディフェンスに当たりコースが変わってゴール。1-1の同点に!

早い段階で追いつくことに成功しました。

試合は振り出しに戻りましたが、試合の展開は代わり映えしません。

ボールはつなげているものの相変わらず決定機を欠きます。

そんな流れを断ち切ろうと26分に小川に代えて上田を投入します。

解説でも言っていましたがこの上田、この世代の中で一番得点を決めてきた選手だとか。

その割に最近の2試合では得点がありません。

小川にしても上田にしても、常にトップの位置でウラを取ろうと、ディフェンスラインでの駆け引きを続けますが、なかなかボールが入ってきません。

ワントップと2シャドウ・ウイングバックとの間にディフェンスの厚い壁があり、ボールが通らないんです。

中盤ではボールがつなげるのにFWにボールが入らない。

そんな歯がゆい展開のまま、サウジアラビアは同点にも関わらずグラウンドに倒れこみ、試合を遅らせるシーンが増えてきます。

確かに初戦ですから、負けないという事も大事なんですが、勝つ事で今後の展開は確実に楽になるのにです。

このまま引き分けかと誰もが思い始めてきた後半42分。

日本のミスからフリーで自陣にボールを持ち込まれます。

相手陣内でボールを回していた日本代表でしたので、自陣にはキーパーとディフェンス1枚が残るのみ。

ペナルティエリアに差し掛かり、攻め込んできた選手が転んだ瞬間に主審のホイッスルが鳴ります。

手前にいたキーパーとは明らかに接触してませんでしたので、サウジアラビア選手のシミュレーションか?と思いましたが、判定はPKのようです。

ここで今大会は全試合に導入されることになったVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が登場します。

主審が両手の人差し指で大きいお弁当箱を描くアレですね。

勝敗を左右する微妙な判定の場合、ビデオでの再確認が入るというシステムです。

当然ボクも、おそらく日本代表選手たちも、試合を見ていた方々もこれはシミュレーションに間違いないと思っていたと思います。

結果はディフェンスの選手の反則を取られ、再度PKの判定に・・・。

これを決められて1-2に。

少ない時間ながらアディショナルタイム突入のタイミングで旗手に代えて田川、杉岡に代えて相馬が投入されますが、時すでに遅し。

日本は初戦を落とす結果となってしまいました。

敗戦の原因はどこだったのか?

大事な試合だったとはいえ、絶対に勝てる試合なんて言うのはありません。

でも今回の試合は確実にチームの総合力でサウジアラビアに劣っていたと感じます。

ボクが思うそのポイントがコチラ

①国内組でのチーム編成
②スピードへの対応
③連携の拙さ

①国内組でのチーム編成

Jリーグの選手が技術的に海外組より劣っているという事ではありません。

むしろドリブルやパスの精度などで勝っている選手は多いです。

ではなぜ国内組でのチーム編成が良くなかったのか?

過去、A代表に選ばれた選手の中にも『自分のクラブチームでは結果を出せているのに、代表では強みが出せない』という選手がいました。

そういった選手たちによく見られる傾向として、その選手のチームにはその選手を活かしてくれるチームメイトがいるんですね。

つまりクセを熟知しているんです。

1年間に渡って一緒にプレイしている選手ですから、ちょっとした事も気にせず思いっきりプレイが出来てるからこそ活躍できてるんですね。

その為一歩外に出てしまうと、いつもと同じようにプレイしているはずなのにボールが来なかったり、出したい場所に出し手がいなかったりしてくるわけです。

本来プロなんですから、そんなことは言ってられないんですが、それが現実です。

逆に海外組の選手たちは、それを乗り越えなくては活躍が出来ない環境に身を置いています。

どんなパスでも受けて、結果を出さなくてはすぐにベンチ外ですからね。

それが代表という少ない時間で組まれたチームの中でも活かされるんですよね。

②スピードへの対応

E-1の韓国戦にしても、今回のサウジアラビア戦にしても明らかに相手のスピードにやられていました。

スピードへの対応としてはもちろんスピードも必要ですが、予測であったりカバーリングだったりで、決定機を作らせないという方法もあります。

特にサウジアラビアは2シャドウの選手のスピードが速かったです。

その場合、守備範囲の広くなる3バックでは対応が難しくなります。

もともと日本代表では、歴代の選手たちも含めディフェンス面でそれほど足が速い選手はいませんでした。

そういった意味でも日本には4バックが合っているんですが・・・。

③連携の拙さ

小川や上田といった1トップが盛んにウラを取る動きでボールを待っていても、どうしてボールが入って来ないのか?

それは1トップの孤立にあります。

得点シーンの多くは、ディフェンスを崩してのシュートだったり、フリーになってのシュートです。

混戦のゴール前で守備を崩して、またフリーになるのは味方がディフェンスを引き付けて、フリーの選手を作っているからなんですね。

いわゆる囮(おとり)です。

1トップの選手が如何にウラを取ってもボールが入って来ないのは、周りの選手が1トップがフリーになれるような動きが出来ていないからです。

例えば2シャドウの選手がポジションチェンジしたり、左右いっぱいに開いてプレイしたりすれば、ディフェンスにズレが生じて味方に余る選手が出てきます。

この動きを繰り返すことでゴール前にフリーでボールが受けられる選手が生まれるわけです。

今回の一番の敗因はこの『連携の拙さ』にあります。

これを修正しない限り、この後のシリアやカタールに勝てたとしても本選で対する強豪国には勝てません。

それでもキーになるのは国内組

今回のアジア選手権にしても、オリンピック本選でも暑さとの戦いになります。

同じ選手が毎試合、ベストなパフォーマンスが発揮できるとは限りません。

そうなると交代で入る選手のレベルアップが重要になってきます。

おそらく本選のスタメンは海外組とオーバーエイジ枠で構成されると思いますが、交代を考えると選手層の厚さ、つまり国内組のレベルアップが勝ち抜いていくカギになります。

直近の2試合も重要ですが、これも本選への道の途中。

今のままでは優勝は遥か彼方の夢です。

森保ジャパンの今後に注目していきたいと思います。